キャリアアップに役立つ資格として人気な簿記2級と簿記3級。
「せっかく勉強するなら同時に取得したい!」と考える人も多いと思います。
一方で2級と3級とでは難易度に差があるため同時受験に不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は大学時代に独学で同時一発合格した私が実践していた勉強法とおすすめの勉強スケジュールについて紹介します。
- 大学時代に簿記2級・3級を同時合格
- 大手金融機関のアセマネ部門にて勤務
- TOEIC950点や宅建、証券アナリストを保有
参考:簿記2級に価値はある?実際に取得して感じたメリット5選
簿記2級・3級の同時合格に必要な勉強時間
まず、簿記2級・3級同時受験に向けて確保したい勉強時間についてです。
大手資格スクールは必要な勉強時間について、下記のように紹介しています。
- ユーキャン:100時間
- TAC:80~100時間
- スタディング:50~100時間
- ユーキャン:250~350時間
- TAC:200~250時間(3級学習経験者)、300~350時間(初学者)
- フォーサイト:250~350時間
私の場合は3級に約50時間、2級に約200時間費やしました。週単位で考えると平日2時間、土日5時間くらいのペースで3か月間学習していました。
上記を踏まえて2級・3級の同時受験には250~300時間の確保が望ましいです!
効率的な勉強をするとしても、3か月間で150時間確保できない方は4~5か月前から学習を開始する、あるいは2級と3級を別々で受験することをおすすめします。
簿記2級・3級の同時受験に向けた勉強スケジュール
ここからは3か月で合格を目指すと仮定して、実際に私がやっていた勉強とスケジュール感について解説します。
3か月前~2か月半前
最初の2週間は簿記3級の範囲を学習します。
簿記2級の受験要件に簿記3級保持者という条件はありませんが、学習範囲は3級の延長線上にあります。そのため、初学者の場合はいきなり2級の勉強を始めるのではなく、3級の範囲で基礎固めをしましょう。
実際に使用したテキストは「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記」です。あの有名な滝沢ななみ先生が書いている超ド定番の参考書ですので、選んで後悔することはないと思います。フルカラーで図解も多く分かりやすかったので、迷っている方におすすめです!
いざ勉強を始めると、まず簿記で使われる言葉に戸惑うと思います。
- 仕訳ってなんだ?
- 資産、負債、純資産、費用、収益の関係性が分からない
- 貸借対照表と損益計算書でどう役割が違うの?
いずれも基礎的ですが、私はこの基本的な簿記の構造を理解するのに苦労しました。どれだけ勉強しても「資産は借方だっけ?」「損益計算書に出てくるのはどれだっけ?」となってました。
これらの対応関係や位置づけを確実に理解することは今後の学習の理解・定着力にかなり関わってくるので、時間をかけましょう!(正直3級だけなら機械的に仕訳を暗記していれば、理解していなくても受かってしまいますが、、)
基本的に最初の2週間で一通り3級の勉強ができたら、試験数日前くらいまでは3級のための勉強はもうしません。なぜなら2級の学習をしっかり行っていれば3級で落ちることはないからです。
しかし、試算表や精算表の範囲は2級ではほぼ出てこない、3級ならではの学習範囲なので、試験数日前に復習することをおすすめします!
私は試験本番、この範囲で6点落として94点でした(100点取りたかった、、泣)
2か月半前~1か月半前
試験2か月半前からはいよいよ簿記2級の学習に取り掛かります。
最初の約1か月間は簿記2級のテキストを読み込みましょう。
3級で扱った商業簿記に加えて、新たに工業簿記という範囲も加わるため、テキストは2冊必要です。
私が使用したテキストは先ほどと同様
「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 商業簿記」と
「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 工業簿記」です。
もちろんみんなが欲しかったシリーズでなくても問題ありませんが、3級で使ったテキストと同じシリーズを選ぶことをおすすめします。
簿記3級からグッと難易度が上がり、範囲も広くなるので、一周するにも時間がかかると思います。受験者の得点率が低い連結会計にかかる決算処理や税効果会計は特に難しいので、章末の練習問題で慣れていきましょう。
勉強のペースとしては1か月間で商業簿記と工業簿記のテキストをそれぞれ2周し、章末問題を解いて理解できるようになるのが望ましいです。
早く過去問に移りたくなる気持ちも分かりますが、大問1の仕訳問題と大問2のテーマ問題は過去問で前例のない問題が出題されることもあるので、テキストで漏れなくインプットしておくことをおすすめします。
1か月半前~2週間前
簿記2級はアウトプットが命です。1か月半前からいよいよ過去問を解いていきましょう。
私が使用していたのは「合格するための本試験問題集 日商簿記2級」です。過去問が12回分も収録されており、2,400円と安いのでおススメです!
いきなり90分計って解こうとしても、多分解けないので、私は以下の順番で勉強しました。
- 古い6回分をテキストを見ながら、時間も計らずに解く
- 新しい6回分をテキストを見ずに一応時間を計りながら解く
- 2周目は何も見ずに解く
過去問の中でも年度の古い6回分は過去問というよりただの練習問題としてテキストを見ながら解いてました。
なぜなら簿記2級は頻繁に問題形式や範囲が変更するので、古い回は必ずしも実戦形式で解く必要もないからです。
続いて新しい6回分はテキストを見ながら解きますが、だいたい90分以内に解き終わりません笑
最初はタイムマネジメントはそこまで気にしなくていいので、時間内に解き終わらなくても気にせず最後まで解いて採点してみましょう。このタイミングで合格ラインの7割か7割弱くらい取れていると望ましいです。
そして忘れていけないのが2周目を解くということです。過去問の1周目は自分が解けないところを炙り出すための作業です。解説を見ただけで解ける気になっていると本番で「あれ?どうやってやるんだっけ?」ってなります泣
2周目では以下のことを気にしてみてください。
- 1周目で解けなかった問題を解けるようにすること
- 大問ごとの目標得点を決めること
2周目を解く中で自分の苦手と得意が分かると思います。
本番ではこの大問でこのくらい取ろう!という目標を決めて、本番で時間をかけるべきところを明確化しておきましょう!
ちなみに私は以下のように設定していました。
大問 | 主な出題内容 | 配点 | 目標 |
---|---|---|---|
第1問 | 商業簿記仕訳5問 | 20点 | 16点 |
第2問 | 連結会計、株主資本等変動計算書など | 20点 | 12点 |
第3問 | 損益計算書、貸借対照表、本支店会計など | 20点 | 12点 |
第4問 | 工業簿記仕訳3問、個別原価計算、総合原価計算など | 28点 | 28点 |
第5問 | 直接原価計算、標準原価計算差異分析 | 12点 | 12点 |
第4問・第5問の工業簿記は出題パターンが限定的で慣れてしまえば、得点源となるので、時間をかけてでも満点を狙ってました。一方で、第2問と第3問は回によって難易度にばらつきがあるので、保守的に設定しました。こんな感じでトータルで80点を狙い、どこかでコケても70点ラインは死守しようと計画です。
2週間前~試験本番
過去問の2周目が終わったら、残りの約2週間は以下のことを意識しましょう。
- 苦手項目はテキストに戻って再度インプット
- 予想問題集などで実戦形式な演習を繰り返す
- 簿記3級範囲を軽く復習
過去問を通じて分かった苦手項目や税効果会計等の複雑な仕訳については試験直前まで定期的にテキストを読み直し、知識の定着を図ります。
また、過去問2周目が終わり、今の実力を知りたい方、タイムマネジメントに不安がある方は予想問題集に取り組むことをおすすめします!
おすすめの参考書は「スッキリうかる 日商簿記2級 本試験予想問題集」です。
予想問題9回分に加えて、ネット試験用の試験プログラム5回分が付いてきます。私が使用していたのは同じスッキリシリーズの3回分しか収録されていない方だったので、こちらの方がいいと思います。
解いてみると過去問1回目のときと比べてかなり得点力がついていることが実感できると思いますよ!
以上、ここまでみっちり勉強できていれば、簿記2級・3級の合格はまず問題ないかと思います。私は実際、上記のスケジュールで勉強し、余裕をもって合格することができました。
※参考までに私の本番での点数は以下の通り
大問 | 配点 | 得点 |
---|---|---|
第1問 | 20点 | 12点 |
第2問 | 20点 | 14点 |
第3問 | 20点 | 20点 |
第4問 | 28点 | 28点 |
第5問 | 12点 | 12点 |
合計 | 100点 | 86点 |
簿記2級・3級を同時受験する方々へ
いかがだったでしょうか。
簿記2級・3級は3か月前から計画的に学習すれば、同時合格は難しくありません。
学習が中途半端になってしまったり、負担が大きくなるという理由から同時受験に否定的な方も一定数いるかと思いますが、受かる器量があるのに余分に期間を空けてしまうのはもったいないです。
短期集中で勉強して受かった身からすると、2回に分けてダラダラ勉強するほうがよっぽど精神的に負担と感じます。
ですので、キャリアアップのために、マネーリテラシー向上のためにこれから新たに簿記を勉強しようという方はぜひ3級だけでなく、その先の2級も合わせた学習を視野に入れてみてください!
簿記2級は難しい分、3級とは評価のされ方が全然違うので、自身のキャリアを大きく変えてくれますよ!
今回の記事がこれから簿記2級・3級を受験する方の励みになれば幸いです!
普段は簿記以外にもキャリアアップに役立つ資格について情報発信をしているので、興味のある方はぜひご覧ください。
講座 | スタディング | クレアール | 資格の大原 | フォーサイト | 資格の学校TAC |
---|---|---|---|---|---|
おすすめ度 | (5.0 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) | (3.5 / 5.0) |
価格 | 3級:3,850円 3級&2級セット:21,800円 2級:19,800円 1級:66,600円 | 3級:16,000円 3級2級マスター:58,000円 2級:53,000円 1級:132,000円 | 3級:24,500円 3級2級W合格コース:77,900円 2級:67,100円 1級:146,500円 | 3級:16,800円 2級:31,800円 1級:なし | 3級:18,000円 3級2級ダイレクト: 82,000円 2級:71,000円 1級:165,000円 |
資料請求 | なし | あり | あり | あり | あり |
コスパ | とても良い | 良い | お高め | 良い | お高め |
学習 サポート体制 | 充実 | とても充実 | とても充実 | 充実 | とても充実 |
学習期間 | 短期 | 短期 | 中期 | 短期 | 中期 |
おすすめ対象者 | 安くかつ短期で合格したい方 | 質問しながら効率的に学習したい方 | 通学しながら安心して学習したい方 | フルカラーテキストで分かりやすさを求める方 | 優れたテキストで確実に合格したい方 |
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