こんにちは!
とらんきーと申します!
今回は「証券アナリスト1次試験の証券分析」について解説していきます。
- 証券アナリスト1次・2次一発合格
- 大手金融機関のアセマネ部門にて勤務
- TOEIC950点や簿記2級、宅建を保有
他の科目も解説しています↓
証アナ1次「財務分析」の勉強法や勉強時間、各大問の対策
証アナ1次「経済」の勉強法や勉強時間、各大問の対策
「証券分析」のおすすめ勉強法・参考書
おすすめの勉強法と参考書
1,TAC出版の市販テキストを1周する
受験者のほぼ全員が使用している「証券アナリスト試験のバイブル」ともいえるテキストがあります。
それが『証券アナリスト1次対策 総まとめ 証券分析』です。
試験会場でこれ以外のテキストを一度も見なかったレベルです。
もちろん「財務分析」や「経済」バージョンもあります。
値段が少し高いのはネックですが、これなしで戦うのはかなり厳しいので私は腹をくくりました。
このテキストを1周するのですが、難解の部分もあるので「こんな感じね」と分かれば十分です。
証券アナリスト1次は内容は難しいものの、分かってなくてもなんとなくで受かってしまう試験の代名詞とも言える試験です。
2,テキストを見ながら過去問を解く
続いてテキストを開きながら実際に過去問を解いてみます。
過去問は証券アナリスト協会のホームページか市販の過去問を使用します。
その際にあとで自力で解くように最新年度の2回分くらいを残しておくことをおすすめします。
私はお金をあまりかけたくなかったので、ホームページの過去問を使用していましたが、解説が不十分というデメリットがあります。
そのため同期はまたまたTACが出している 『証券アナリスト1次対策 過去問題集 証券分析』 を使用している人が多かったです。
問題を見ながらテキストで解答の根拠となるところや計算に必要な公式を探して解いてみるという作業をします。テキスト全てを理解しようとするのではなく、試験に出るところをしっかり押さえることが大切です。
特に「証券分析」は計算問題が難解で、難しい概念が多く存在しますが、
何年分か過去問をやると毎年同じような問題が使いまわされていることに気付くと思います。
また、テキストを見ても分からないような問題や記載されていない問題があるなど、網羅しきれないということも分かります。
しかし、皆が同じようテキストを使って勉強している以上、そういった問題は周りも解けないので深追いする必要がありません。
3,自力で過去問を解く
試験一週間前くらいからは前年度の春・秋2回分を何も見ずに解いてみましょう。
テキスト見ながら解いて、理解しているつもりだったところや覚えているつもりだったところが意外と分かっていなかったと気づくはずです。
自分の目標としていた点数と比較して、どの大問で足りていなかったのかを理解し、残りの期間におさらいしましょう。
4,直前期は公式をひたすら暗記する
試験2~3日前や試験当日は今一度、頻出問題の計算式や公式をおさらいしておきましょう。
CAPM、マコーレーデュレーション、コンベクシティやROE、流動比率といったファンダメンタル分析に用いる公式など毎試験出ている論点の公式は空で言えるようにしておきたいですね。
おすすめしない勉強法
皆さん証券アナリスト試験を受ける前年度に5万円も出して、講座を申し込むことになると思います。
講座に申し込んだあとに証券アナリスト協会から大量の試験対策テキストが送られてくるのですが、一切必要ないです!
一度も開かなくていいです笑
捨ててもいいです笑
「証券分析」の各大問の対策と目標点
この章ではそれぞれの大問の出題内容と6割とるための目標点数について解説します。
配点は年度によって若干異なります。
※2021年秋試験までは180点満点でしたが、2022年春試験からは170点満点に変更になりますので、参考にするにとどめておくことをおすすめします
大問1:日本の証券市場(15問15点)
日本の証券市場の仕組みや機能について、4択で出題され、問題によって「正しいものはなんですか」「正しくないものはなんですか」と2種類あるので注意が必要です。
内容としては証券の種類、取引方法の種類、コーポレートガバナンスコード、証券会社の業務内容が頻出です。
毎年、市販のテキストには記載されていない内容や非常に難しい選択肢が出題されており、満点はほぼ不可能といえます。
しかし、選択問題なので、消去法で二択くらいに絞ることができます。私の場合はほとんどすべての問題で「どっちかなんだよなぁ」ってなりました笑
また、この大問が一問が一点と配点も小さいので、ここでコケても合否に影響を及ぼすことは稀だと考えます。
つまり、いかに自分の知っている内容で選択肢を絞ることができるかが大事です。
目標点は半分の8/15といったところでしょう。
大問2:ファンダメンタル分析(15問30点)
大問2ではファンダメンタル分析について出題されます。
大きく二つの範囲に分けられます。
産業分析・・・景気動向指数やライフサイクル理論、経営戦略論
企業要因分析・・・収益性分析、財務安全性分析、キャッシュフロー分析、サステイナブル成長率
後者については『財務分析』で扱う範囲と全く同じなので、新たに対策する必要はなく、公式さえ覚えていれば解ける問題がほとんどです!
前者についても覚えることは比較的少ないため、得点源にできる大問となっています!
目標点は8割、24/30といったところでしょう。
大問3:株式分析(15問30点)
大問3では限られた範囲から出題されます。
大きく二つの範囲に分けられます。
株式の投資尺度・・・PER、PBR、EBITDAなど
株式価値評価モデル・・・配当割引モデル、残余利益モデル、FCFEモデル
前者について、いずれも聞き覚えがあるワードが続きますが、それぞれの意味や、分母と分子にくるものをはっきり覚えておく必要があります。
後者について、一見3パターンの株価算定式を覚えておけばいいと思われがちであるが、最近はやや難化傾向にあり、計算問題を解くにあたり、複数の公式を展開しないと解けないことが多いです!
小さい大問が3つあり、それぞれ5問構成。
大問の最初の問題が解けないと2問目以降も解けない場合がよくあるので、基本的なところが確実に抑えておきましょう!
目標点は7割、21/30といったところでしょう。
大問4:債券分析(18問35点)
大問4では大きく3つのテーマに分けられます。
債券価格と利回りの算定・・・最終利回り、保有期間利回り、パーイールド
スポットレート、フォワードレート・・・二つのレートの関係、純粋期待仮説、ローリングイールド
債券投資のリスク・・・リスクの種類、格付け、デュレーション、コンベクシティ
この大問は比較的難しい概念や計算が難しいです。
スポットレートとフォワードレートの概念の違いや純粋期待仮説とローリングイールドの違いはしっかり押さえておかないと金利期間構造の理論や保有期間利回りの計算で苦戦を強いられます。
債券の計算、特に利回りや債券価格の算定、デュレーション、コンベクシティの導出などは計算が複雑になるケースが多いです。
しかし、関数電卓を使いこなすことさえできれば、画一的な出題傾向であるため得点源になります。
目標点は7割、25/35といったところでしょう。
大問5:デリバティブ分析(15問30点)
なじみがないと最も理解に時間がかかる範囲です。
主な論点は以下の3点です。
オプション・・・オプション価格の決定要因、プット・コール・パリティ、損益図、オプション評価モデル(2項プロセス)
株式先物・・・先物取引、先渡取引、裁定取引、ヘッジ
スワップ・・・金利スワップ、通貨スワップ
三つの中でも特に大きなウエイトを占めているのがオプションです。
コールオプションとプットオプションの価格が金利、原資産価格、残存期間、ボラティリティがどう変化すると上昇するのか、下落するのかという関係性を押さえることはもちろん、
プット・コール・パリティを用いた計算式やプロテクティブ・プットなどの主なオプション戦略についても覚えておく必要があるでしょう。
難しい内容ですが、一度理解できれば安定して得点できると思います。
目標点は5割、15/30といったところでしょう。
大問6:ポートフォリオ・マネジメント(20問40点)
最後の大問ではポートフォリオ理論に関する一連の理論体系をテーマとされています。
1つの範囲となっていますが証券アナリスト試験の全ての基礎となるような単元です。
頻出は以下の4つのテーマです。
リスクとリターン・・・基本統計量、投資家の選好、マーケットモデル
CAPM・・・資本市場線(CML)、証券市場線(SML)、ベータという概念
マーケット・モデル・・・個別証券のリスクとリターン、決定係数、t検定
リスク・ニュートラル・プライシング・・・状態価格、リスク中立確率
リスクとリターン、マーケットモデルは統計学や経済学と範囲が類似しているため、比較的取り組みやすいです。
一方でCAPMや状態価格という言葉は馴染みがない人が多いと思います。
加えて、理論に関する選択問題が比較的多い大問でもあるので、安定して得点するのが難しい分野でもあります。
ただ、ここでも出てくる計算問題はパターン化されています。
そのため、過去問で頻出の「ベータを求めよ」「相関係数を求めよ」といった計算問題は確実にとれるようにしておきましょう!
目標点は6割、24/40 といったところでしょうか。
以上の目標点を合計すると117/180になります。得点率にすると65%になるので、十分合格できます。
「証券分析」の勉強時間
私の場合(経済学部、統計学専攻)
私は春に財務分析をすでに合格していたので、秋試験は証券分析と経済の二科目を勉強していました。
二か月ほど前から平日は2時間、土日は4時間くらい勉強し、
証券分析:経済=8:2くらいだったので、証券分析の勉強時間は約120時間だと思います。
ちなみに本番の得点率は8割くらいでした。
私はファンダメンタル分析の範囲は財務分析で既に勉強していたこと、大学時代は統計学を専攻していたことを考えると
数学があまり得意でない人は150時間くらい確保してもいいかもしれません。
同期の場合
私の同期の友人は3科目を1回の試験で同時に受けていたので、あまり時間を割けなかったと話していました。
しかし、財務分析の総合問題は「証券分析」のファンダメンタル分析と範囲が全く同じなので、相互の科目が補完しながら知識を定着していったのだと思います。
勉強の合計時間は100時間くらいだそうです。
証券アナリスト試験でおすすめの電卓
最後に余談ですが、証券アナリスト試験を受けるのであれば、関数電卓は持っておいた方がいいです。
私は春に財務分析を1科目だけ受けたのですが、何も知らないままごく普通の電卓をもっていきました。
ただ周りを見渡すと皆黒くてスタイリッシュな関数電卓をもってました。
もちろん私はごく普通の電卓や携帯の電卓機能を使って勉強していたので、解けたのですが、やっぱり時間がかかってしまいます。
財務分析だけならいいですが、証券分析では関数電卓は必須です。
秋に証券分析のために買ったらその使いやすさに感動しました。
同期にも「今まで関数電卓なしで解いてたの!?ドMかよ笑」と言われました。
関数電卓があると複雑な計算式や方程式も簡単に導けるので、かなり解くスピードが上がりました。
なので、安くてもいいので証券アナリストを受ける方は一つ買った方がいいです。
私や同期を含め、受験者の多くが使っていたのが「CASIO関数電卓fx-JP500-N」です。
カシオは他にも高性能な関数電卓を多く出していますが、証券アナリスト試験では一番安いこのモデルで十分かと思います。
気になった方はぜひ調べてみてください。
終わりに
いかがだったでしょうか。
今回は証券アナリスト一次試験の証券分析について解説してみました。
普段は証券アナリスト以外にもキャリアに役立つ資格について、情報発信をしているので、興味のある方はぜひご覧ください。
金融業界で役に立つ資格についてはこちら↓
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